割れ
１つの器が割れて複数のパーツに分かれてしまう状態です。
割れ方によって難易度が変わってきます。
複数の割れや欠けある器
小さな割れと欠けのある器
器が欠けると哀しいけれど
漆で繕うことで蘇る記憶
以前よりもいとおしくなる感覚に
本漆金継ぎについて
割れ、欠け、ひびなどが入ってしまった陶磁器やガラス器、漆器などを本漆で接着し、継ぎ目や隙間などを漆芸技法で丁寧に復元した後に蒔絵技法で金や銀、プラチナなどの金属粉を蒔いて化粧（装飾）する日本独自の技で金繕いとも呼ばれます。
修理後に現れた継ぎ目を「景色」と称し、破損前とは異なる趣は楽しみのひとつです。大切な器が欠けたり、割れてしまった哀しさはもちろんありますが、漆で繕うことで以前にも増して自分の器になる気がする。そんな癒しの効果もある日本ならではの修復技法です。
時間はかかりますが、天然素材のみで直す本漆による金継ぎは強靭且つ美しい仕上がりで口に触れる食器には最善と言えます。本漆金継ぎは多くの方に知っていただきたい暮らしの選択肢です。
現代では本漆の代わりに簡易的に合成接着剤や合成漆を使うこともありますが、漆造形にし山では本漆のみを使用します。
金継ぎした器は電子レンジやオーブン、食器洗浄機の使用は避けてください。
本漆金継ぎの修理
金継ぎの様々な修理方法や呼び名を紹介します。
欠け
器の一部が欠損してしまった状態です。
本漆でつくるパテ状のものを埋めて成形し、器のかたちを取り戻します。
欠けのある器
欠けと小さな割れのある器
ひび or にゅう
深さのある亀裂や水漏れが生じる状態をひび、浅いひびがうっすら確認できる状態で使用に支障のない程度をにゅうと呼びます。
小さな欠けとひびのある器（before）
金消粉にて仕上げ（after）
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ほつれ
器の表層が剥がれるように欠けた比較的小さな破損です。
粉引の器に多く見られます。
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共継ぎ（共直し）
破損部分を本来の器の色や質感に近づけて仕上げる方法。
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呼び継ぎ
破片が欠損して足りない箇所に別の器や木などを当てはめて修理する方法。
基本工程
例）割れ、欠けの有る器の場合
器の状態、素材、ご希望によって工程が異なります
漆は硬化に時間を要するため、下記工程以外に1工程につき1日〜2週間の時間を必要とします
修理箇所以外は養生しておこないます
- 計測・お見積もり
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- 素地調整（器の状態にあわせて実施）
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- クリーニング（断面の汚れを落とす）
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- 漆固め（断面に漆を定着させる）
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- 接着（麦漆または漆にて）
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- 接着部調整（余分な箇所を削る）
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- 欠損部分の補填（漆を用いたパテ状のもの）
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- 研ぎ（補填した部分を調整する）
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- 漆固め（補填部分に漆を含ませ定着させる）
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- 下地一回目（漆と砥の粉を練り合わせたもの）
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- 下地研ぎ（器の形状、フォルムに合わせる）
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- 漆固め（下地部分に漆を含ませ定着させる）
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- 下地二回目（１回目で埋まらなかった箇所に）
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- 下地研ぎ（器の形状、フォルムに合わせる）
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- 漆固め（下地部分に漆を含ませ定着させる）
- →
- 下塗り（１回目の塗り）
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- 下塗り研ぎ
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- 中塗り（２回目の塗り）
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- 中塗り研ぎ
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- 上塗り（金属粉を接着する塗り）
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- 金属粉を蒔く（金粉、銀粉、錫粉など）
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- 金属粉の定着（漆にて）
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- 研ぎ・磨き（鯛牙・メノウによる）
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- 完成
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1
割れの数、長さ、欠けの数、面積などを計測します
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5
硬化するまでずれないようテープで固定して瀬着します
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6
はみ出した漆や汚れを処理します
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10
下地をつけて割れ、欠けの段差を埋めていきます
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14
下地を問いで段差を無くします
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16
下地部分を覆うように塗りを施します
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21
上塗り後しばらくおいてから金属粉を蒔きつけて化粧を施します
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24
鯛牙で磨いて完成
修理例
これまで数多くのご依頼を頂いてきました。その中のいくつかを紹介させていただきます。
割れ、欠け、ひび、ほつれ
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仕上げ方：
銀粉仕上げ
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産地、銘：
唐津
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作者：
作者不明
銀粉仕上げ（before）
銀粉仕上げ（after）
割れ、欠け、にゅう
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仕上げ方：
金粉仕上げ
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産地、銘：
不明
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作者：
作者不明
金粉仕上げ（after）
金粉仕上げ（after）
欠け
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仕上げ方：
銀粉仕上げ
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産地、銘：
不明
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作者：
作者不明
銀粉仕上げ（after）
銀粉仕上げ（after）
割れ、欠け、ひび
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仕上げ方：
漆仕上げ
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産地、銘：
小石原
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作者：
翁明窯元
漆仕上げ（after）
漆仕上げ（after）
欠け、ほつれ
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仕上げ方：
金粉仕上げ
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産地、銘：
萩
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作者：
十二世坂高麗左衛門
金粉仕上げ（before）
金粉仕上げ（after）
欠け
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仕上げ方：
金粉仕上げ
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産地、銘：
交趾臺牛香合
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作者：
十六代永樂善五郎
金粉仕上げ（before）
金粉仕上げ（after）
欠け、ひび
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仕上げ方：
金粉仕上げ
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産地、銘：
沖縄
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作者：
新垣勲
金粉仕上げ（before）
金粉仕上げ（after）
割れ、欠け、ひび
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仕上げ方：
錫粉仕上げ
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産地、銘：
九谷
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作者：
作者不明
錫粉仕上げ（after）
錫粉仕上げ（after）
割れ、欠け
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仕上げ方：
金粉仕上げ
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産地、銘：
備前
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作者：
作者不明
金粉仕上げ（after）
金粉仕上げ（after）
本漆金継ぎのご依頼を承ります
お見積りのご依頼は、専用メールフォームに下記必要事項を入力の上、ご依頼ください。ご相談はお問い合わせフォームにてお気軽にお問い合わせください。
修理のお見積は無料ですが、本漆による金継ぎは熟練の技術で時間と手間をかけて修理するため、最低価格を5,000円（送料別）に設定しています。
複数のご依頼を頂いた場合、仕上げ方にもよりますが破損状況の軽いものにつきましては5,000円以下での修理も致します。
- 修理する器の素材（陶器／磁器）とサイズ（高さmm× 幅mm× 奥行きmm）
- 修理箇所の状態とサイズ（表側と裏側それぞれの長さmm、幅mm）
- 修理する器の写真（表側と裏側の全体像、修理箇所のアップ）
- ご希望の仕上げ方（本金／プラチナ／本銀／錫／銅／真鍮／漆など）
- お名前、ご連絡先など
